看護師には72時間ルールと呼ばれるものがあります。これは、看護師が夜勤をする時間を1ヶ月に72時間以内にしなくてはいけないとル
ールです。これを破ると病院の収入である診療報酬点数が下げられてしまいます。ですので順守することは当然であり、守らなくては病院自体も収入が減ることになるので困るのですが、そう簡単な問題でもないのです。元々これは2006年に厚生労働省が打ち出したルールなのですが、さらに元をたどると看護師協会が看護師の夜勤の時間を減らそうと声を上げたものなのです。この看護師協会を管轄するのが厚生労働省なのでここから打ち出されたのです。これは看護師の労働環境や体調面を考えればごく当たり前のことなのですが、現代の日本は看護師不足が叫ばれています。ですので、看護師の数が増えない状態で勤務時間だけを減らそうとすると、極端な話病院に看護師がいない時間帯が出来てしまいます。当然それでは医師や患者は困るわけです。看護師の人数が揃っている病院ではまだシフトの調整が出来ますが、地方の看護師が特に足りていない病院ではこの72時間ルールはとても厳しいルールなのです。さらには看護師の中でも様々な意見があるようで、そもそも過酷な労働環境を改善しなければ時間など変えてもあまり意味がない、というものや時間を減らされれば同時に給料も減るのでそれは困る、というものまで様々です。最近ではこのルールを守っていなかったにも関わらず不正な料金を患者に請求していたと保険指定の病院から外されたという事件もありました。この問題はさらに議論を重ねる必要があります。